カクヨムロイヤルティプログラム:10回目のリワード付与【最終回】
芹澤です。
7月分(7/1~7/31)のロイヤルティプログラムのリワード金額が確定しました。
今回の結果はこちら↓↓↓
(左から)リワード・アドスコア・広告表示PV
今回は1PV=0.072リワード(円)になりました。
【参考】
10月は1PV=0.090リワード
11月は1PV=0.099リワード
12月は1PV=0.096リワード
1月は 1PV=0.089リワード
2月は 1PV=0.088リワード
3月は 1PV=0.095リワード
4月は 1PV=0.069リワード
5月分 1PV=0.061リワード
6月分 1PV=0.073リワード でした。
前月より0.001円の減少となりました。
誤差の範囲内ですね。
7月は試験勉強がメインだったため執筆に注力できませんでしたが、思ったよりもリワードがついたので少し驚いています。
それだけ旧作を見に来てくださった方がいるということですね。
ありがたい…。
これからも精進していきます。
リワードに関してはロイヤルティプログラムがはじまった初回から今回までブログで結果を報告してまいりましたが、そろそろ潮時かと思いますので今回を最後とさせていただきます。
ご覧いただき、ありがとうございました。
ふつうのブログは引き続き更新しますよ!
よろしくお願いします。
それでは。
【過去記事】
www.alice-novel.work
コンテストで入賞しました!
https://estar.jp/official_contests/159454
芹澤です。
この度、エブリスタ主催のコンテストで受賞しました!ありがとうございます!!
拙作が入賞していました✨#エブリスタ
— せりざわ (@Seriyu26) 2020年9月8日
「ただのガチャだけど本気の恋だった」https://t.co/me7YCQAS2S https://t.co/jN1tpn7EBM
今回のテーマは「男性視点の恋愛」
本作「ただのガチャだけど本気の恋だった」は、コバルトノベル大賞で三次通過・電撃小説大賞で一次通過した短編を改稿したものです。
まさか自作が受賞するとは思わず、昨日の発表までエントリーしたことを忘れていました。
なんだか棚ぼたの気分です。
(最初メールが来たときはファミ通かと焦ってしまいました…笑)
賞典として、エブリスタ上で公開されている総評以外にも直々のアドバイスをいただき、とても参考になりました。
自分では意識していなかった後半の鬱展開が逆に「ガチャ」に収束するのが高評価だったようです。
これらを踏まえると短編小説はとにかく「アイデア勝負」なのではないかと思います。
前回のテーマは「ハーレム&逆ハーレム」だったので実体験に基づく婚活パーティーのお話を書いて受賞しましたし、今回は一風変わったガチャのお話です。
どちらも上手いとは言えない文章ですが、そこはアイデアで押し切る!
とにかく審査員を「お?」と思わせる意外性が大事なのだと思います。
また機会があれば挑戦させていただきます。
今回いただく賞金1万円は今月から年末にかけて発売される小説の購入費用に充てさせていただきます。
ありがとうございました!
【最後に宣伝!】
カクヨムでバスケ×ラブコメを連載中です。いまのところ毎日更新中。
よろしくお願いいたします。
姫と小石崎 ~本気のバスケをはじめたらモテ期がはじまった!?~(芹澤しゅいろ) - カクヨム
【前回の受賞についてはこちら】
最新:電撃の一次落ちを使い回すならココ!
芹澤です。
先日公開したブログ(電撃小説大賞一次選考について思うこと)にたくさんの反応をいただいたので補足しておきます。
www.alice-novel.work
寝る間も惜しんで書き上げた渾身の作品が一次落ちだった。
悔しい。つらい。このままじゃ終われない。
そんな方々に以下の賞をおススメします。
いずれも電撃で一次通過した拙作を投稿(いわゆる使いまわし)したところ、一次通過以上の成績を残した賞です。
(もちろん必要に応じて改稿しております)
ファンタジア大賞(8/31〆)
改稿作を応募したところ、3次通過しました。
編集部からはじめて電話をいただいたところでもあり、その際の対応も評価シートもとても丁寧です(その一回きりで終わってしまったのは私の力不足ですが)
詳しくはこちらのブログをご覧ください。
締切が近いため、落選によって悶々とした気持ちを発散するにはピッタリです。
ただし応募要項はちゃんと確認しましょう。
40字×16行で200~270枚ですよ。詳しくは公式サイトへ
小学館ライトノベル大賞(9/30〆)
一次通過しました。
ここは一次でぎゅっと絞ってくることで有名で、通過できただけでも奇跡です。
詳しくはこちらのブログをご覧ください。
評価シートの内容は手厳しく「なんで一次通したし!」と悔しい気持ちになりました。いえ、分かっていますよ、ダメだってことは…。
42字×34行で70枚~150枚です。詳しくは公式サイトへ
GA文庫大賞(11/30〆)
こちらは最終候補にまで上り詰めました…!(最終落ちです)
当時のことを思い出すと「うぎー!」と今でも発狂しそうなります。
詳しくはこちらのブログへ
締切まで余裕がありますので改稿する時間は十分に取れます。
選考にあたっては編集さんのツイートで大変盛り上がるうえ、評価シートはとても丁寧です。
42字×34行で80枚~130枚です。詳しくは公式サイトへ
以上です。参考になったでしょうか。
使いまわしてもデビューできていない自分の恥を上塗りしているだけにも思いますが、すこしでもお役に立てれば幸いです…涙
繰り返しになりますが、応募要項をよく確認してください。
中には会員登録が必要なところもあります。
そのまま投稿するか、改稿するか、はたまた公募ではなくネット(なろう・カクヨムなど)で一発逆転を狙うか……さまざまな選択肢があると思います。
もちろん、かの作品のように来年の電撃にそのまま応募する手も!!
大切な作品ですから、一番輝ける場所を目指して育ててあげてください。
ご武運をいのります。
電撃小説大賞 一次選考について思うこと
こんばんは、芹澤です。
前回のブログで「電撃大賞」の評価シートについて触れました。
コロナの影響で遅れていましたが、本日お待ちかねの一次通過が発表されました!
★こちらをチェック → http://dengekitaisho.jp/announce_27_02.html
私は参戦しておりませんが、Twitter上は悲喜こもごもが入り乱れて大変賑やかです。
小説大賞に関していえば、応募総数4,355作。そのうち一次通過は436作。
通過率は10%…。なんと狭き門でしょう。
ではここで、
一次落ちを二回、一次通過を二回経験している私から一言述べさせていただきます。
一次落ちは「運」のせいだけ、とは言えない。
まず、一次通過作について触れます。
3作のうち2作は使いまわした他の賞においても高次(3次通過以上)に残る作品でした。想像するに、ある程度のレベルに達しているものだったのでしょう。
逆に一次落ちの2作は、使いまわして他の賞に応募しても一次落ち。
電撃どころか、そもそも小説として求められるレベルに達していなかったのだと思います。
思い返すと締切ギリギリで書き上げたもので、不完全な状態でした。
つまり下読みさんはちゃんと見ている。読んでいる。そう考えます。
中には「そんなはずがない。自分の作品は絶対に面白い。運が悪かっただけだ」と思われる方もいると思います。
自信作ならば、ぜひ他の賞に使いまわしましょう。
もしそこで高次・受賞したのならば、「運」「相性」だったと言えるでしょう。
これは自戒を込めて言いますが、「運が悪かった」「下読みが悪い」と決めつけて、なにも分析しないまま放置するのは勿体ないと思います。
受賞作と比べてなにがどう足りていなかったのか、悪かったのか、どうすれば上にいけるのかを考えて突き詰めれば、グン!と成長するかもしれません。
俗にいいますね。
本当に実力があるのなら3作以内に結果がでる、と。
ならば「運が悪かった」と言えるのはせいぜい3回まで。
そこからはいかに分析・勉強・成長できるかだと思います。
「運」という都合の良い言葉に甘えていては、いつまでも上にはいけません。
どうしても小説家になりたいのなら、次も頑張りましょう。自分も頑張ります。
なにかご質問等ありましたらコメントをどうぞ。愚痴でもいいですよ(笑)
追記:こちらの記事もどうぞ!
ブログ小説「チカの地下冒険とダイヤモンド王国のひみつ」4話
芹澤です。ブログ小説、4話をお届けします。
(同じ作品をカクヨムにも掲載しています)
【あらすじ】
「おかあさんなんか、だいっきらい!」
中学一年の藤村チカは数学のテストで赤点をとってしまい、おかあさんとケンカして家出した。
所持品はメモ帳、鉛筆、ハンカチ、そして入学祝いにもらったダイヤモンド(レプリカ)のネックレス。
ひとりで生きていこうと決めたチカだったが、誤って、工事中の穴に落ちてしまう。――ころころころころ。
転がり落ちた先はまっくらな地下世界の坑道。
そこで出会ったのは尻尾のある少年・コード8032と口やかましい微光虫・ラックだった。ふたりと一匹による大騒ぎの冒険がはじまる。
チカの地下冒険とダイヤモンド王国のひみつ 4話
「うそ、うそよ、そんなことありえない。これは夢よ。ほっぺをつねれば目が覚めるはずよ、よし――いったぁい!」
手加減なしに頬をつねったらものすごく痛かった。ハチミツとラックが不思議そうに顔を見合わせている。
「ねぇラック、なんだかチカがいるとにぎやかで楽しいね」
『そうかぁ? だいぶ嫌がっているみたいだけど』
「いたぁい! どうして? どうして目覚めないの?……おかあさん……」
じわっと目が熱くなってぽろぽろと涙があふれた。
どういうワケか異世界に来てしまった。このまま帰れなかったらどうしよう。おかあさんに「ごめんね」も言わずにこっちで死んでしまったら。考えるだけで悲しくなる。
「チカ、なかないで」
ハチミツがやさしく手首を掴んだ。
「きみが帰れるようにぼくも協力するから、元気だして」
やさしいぬくもりが伝わってくる。そうだ、泣いても仕方ない。戻る方法を見つけないと。
「わかった、ありがとう。もう泣かない」
「うん、チカは笑顔の方が似合うよ」
ハチミツがにっこりするとチカまで笑顔になれた。
『そうさ、仲良くしようぜ』
左右に結んだ髪をラックがよじのぼってくる。
(ひぃい! でっかいぃ)
思わず悲鳴を上げそうになった。けど、チカは助けてもらう立場だ。文句を言って放り出されたら困るので、涙目になりながら我慢する。
これからしばらくは彼らに頼らなくてはいけない。ハチミツと、この、でっかい虫に。
でも眠っていて目を覚ましたとき鼻先にこんな虫がいたら……。
「やっぱりむりぃいい!!」
首をぶんぶん振って払い落とすとラックがすかさず抗議の羽音を響かせた。
『あっ、こんにゃろー!』
「しっ! しずかに!」
口に手を当てたハチミツが鋭く目を光らせた。チカとラックはびっくりして硬直する。
「動かないで。聞こえたんだ、ヤツの足音が」
ゆっくりと立ち上がったハチミツはスローモーションみたいに見まわすと、四つん這いになって壁伝いにすこし進み、その先にあった顔くらいの穴を下から覗き込んだ。しっぽがピンと立っている。
(さっきから言ってる《《ヤツ》》って、一体なんなの)
不安になったチカも膝で這って近づき、ハチミツの頭の後ろから穴の中を覗き込んだ。ヒョオオ、と風が抜けてくるのでどこかの空洞につながっているようだが、まっくらでなにも見えない。
けれどハチミツの目は真剣そのもの。チカには「黒」にしか見えない穴の向こうに別の色や物が見えているみたいだ。
『どうよ、なんか聞こえるか』
ラックがハチミツの頭に飛び移る。無言だったハチミツはしばらくすると全身の力を抜くようにふーと大きな息を吐き出した。
「――ううん、しずかになった。別のところへ行ったみたいだ。でも早めに離れた方がいいかも」
『なら撤収しようぜ。いま爆破した岩盤の確認はまた今度だ』
「うん、そろそろ点呼の時間だ。道中がふさがっていないことを祈って明日また来よう。行こう、チカ」
元気よく立ち上がったハチミツとは対照的に、チカは足に力が入らなかった。
(異世界だなんて)
これからどうすればいいのか、このままハチミツについていっていいのか迷っていた。
「どうしたの? お腹痛い?」
座りこんだままのチカに気づいてハチミツがしゃがみ込む。
改めて、顔を見た。
ラックの光に照らされた目は透き通っていてきれいだ。男の子とこんなに近くで顔を合わせたことがないチカは恥ずかしくなって下を向く。
「わたし、部外者だけど、ついていっていいのかな。迷惑にならない?」
「心配いらないよ。ぼくがちゃんと説得する。コロニーにおいでよ、おいしい食べ物や温かい寝床がある。それにナナフシなら戻る方法を知っているかもしれない」
ナナフシ、と言われてチカの頭には以前図書室で見た昆虫図鑑が浮かんだ。
「たしかナナフシって木の枝みたいな虫のことよね?」
「虫? ううん、コード7724はぼくの兄みたいなものさ。頭はいいけど怒るとすっごく怖いんだよ」
「――へぇ、誰がだ?」
別の声がし、チカはどきっとして顔を上げた。ハチミツの後ろで腕を組んでいる人物がいる。ぞっとするような冷たい目だ。
「は、ハチミツ君、後ろ……」
必死に後ろを指さすがハチミツはまったく気づかない。
「この前だって蜜石をこっそり食べたところを見つかってカンカンに怒ってさ、もうちょっと優しくしてくれてもいいのに、あーしろこーしろってうるさくて」
後ろの人影が腕を組んだ。
「悪かったな、口うるさくて」
「えっ!?」
ぐるりと首を巡らせたハチミツは真後ろにいた人影をみとめて「わー!!」と叫び声をあげる。
逃げようと腰を浮かした瞬間に腕を掴まれ、見事な足払いで地面に倒され、そこに人影がのしかかった。
「もう一回いってみろ、怖い、ん? 優しくない? そりゃあ悪かったな」
「ち、ちちちちがうよ、ナナフシ、聞き間違いだよぉ」
必死に手をふるハチミツを見てチカはようやく気づいた。
(この人がナナフシさん?……ちょっとかっこいいかも)
大きな瞳と通った鼻筋はテレビに出てもおかしくないほどの美形だ。チカよりも一つか二つ年上だろう。ハチミツに比べても体つきがしっかりしている。
「点呼の時間だっていうのに姿が見えないから探しに来てみれば、なんだこの散らかりは。最近不審な動きをしていると思ったら、ここでなにをしていた。許可のない採掘はメシ抜きだぞ、分かってるのか」
ハチミツはこまったように目を泳がせている。
「すみません! わたしが悪いんです!」
見かねたチカがふたりの間に飛び込んだ。ナナフシという少年はびっくりして後ずさる。野良猫みたいに警戒しているのが分かった。けれど瞳の焦点が合わない。目が悪いのかもしれない。
「――ルナ、600ルクス」
親指と人差し指でぱちん、と指を鳴らすとナナフシの背中から一匹の虫が飛び出してきて頭上の壁に張りついた。
『はいなっ』
ラックと同じ微光虫だ。かわいらしい声とともにパッと灯りがつく。それこそ夜中トイレに行きたくなって電気をつけたような眩しさだった。ラックの懐中電灯のような光とは比べ物にならない。
眩しくて懐かしい光の中でナナフシの青い目と銀色の髪、体をすっぽり覆っているハシバミ色のフードつきダウン、そして同じものを着ているハチミツの金色の髪と暖かな茶色い瞳の色がはっきりと見えた。
「オマエは?」
先ほどまでとは違う、硬い、他人行儀な声。チカはきりりと胃が痛むのを感じて唾を飲み込んだ。自分が敵ではないことを理解してもらわなくてはいけない。
「チカです。異世界の日本から落ちてきた中学一年で、ハチミツ君に助けてもらったんです」
「いせかい……」
ナナフシはちらりとハチミツを見た。
「説明しろ。“モグラ”だったら笑えないぞ」
「モグラじゃありません! チカです!」
反射的に答えたが、ナナフシが呆れたみたいに目を細くした。
どうやら違ったらしい。モグラ。モグリ人とは違うのだろうか。
「あのねチカ、モグラっていうのは決められたコロニーを勝手に抜け出した人のことだよ。ぼくたちは許可なく持ち場を離れちゃいけないことになっているんだ。入り組んだ坑道で迷子になったが最後、自分の顔を忘れてそのうちに正真正銘のモグラになっちゃうんだってさ」
チカは図鑑で見たモグラを思い出した。目は小さくて鼻が突き出ている、全身が茶色っぽい毛に覆われていて結構かわいい。でも自分がモグラになるなんて冗談じゃない、と寒気がした。
「長い時間じゃなければ大丈夫だよ。それにラックが灯りをつけてくれる。ねぇナナフシ、チカは困ってるんだ。どうにか助けてあげたい。それに”そら”がある【外の世界】から来たんだって、いろいろお話聞きたいじゃないか」
「……また【外の世界】かよ」
ほんの一瞬ナナフシが苦しそうな表情を浮かべたのをチカは見逃さなかった。なにか知っているのかもしれない。
「《《色》》は覚えた。ルナ、もういい、戻れ」
『はぁーい』
ナナフシの合図で灯りが小さくなった。羽を広げて壁からナナフシの肩へと移動してくる。それでもまだお祭り会場にある提灯のように明るい。
「戻るぞハチミツ、仕事だ」
「チカは? チカも連れて行っていいよね?」
すでに歩き出していたナナフシは追いすがるハチミツではなくチカを振り返った。じっと睨んだかと思うとため息をついて前を向く。
「好きにしろ。もてなしは期待するなよ」
「やった! 良かったねチカ!」
満面の笑顔でハチミツが飛び跳ねる。「ありがとう」と精いっぱい笑ったチカだったがポップコーンみたいに心臓が鳴っているのが分かった。
(わたし、これからどうなっちゃうんだろう……おかあさん)
ただでさえ周りが暗いのに、気持ちまで”まっくろ”になってしまいそうだ。
【おしらせ】
これにて一章おわります。
需要確認のため、続きが気になる方は下記「読者になる」ボタンお願いします!
ブログ小説「チカの地下冒険とダイヤモンド王国のひみつ」3話
芹澤です。ブログ小説、3話をお届けします。(前話との分割です)
(同じ作品をカクヨムにも掲載しています)
【あらすじ】
「おかあさんなんか、だいっきらい!」
中学一年の藤村チカは数学のテストで赤点をとってしまい、おかあさんとケンカして家出した。
所持品はメモ帳、鉛筆、ハンカチ、そして入学祝いにもらったダイヤモンド(レプリカ)のネックレス。
ひとりで生きていこうと決めたチカだったが、誤って、工事中の穴に落ちてしまう。――ころころころころ。
転がり落ちた先はまっくらな地下世界の坑道。
そこで出会ったのは尻尾のある少年・コード8032と口やかましい微光虫・ラックだった。ふたりと一匹による大騒ぎの冒険がはじまる。
チカの地下冒険とダイヤモンド王国のひみつ 3話
(おかあ……さん)
うっすらと目を開けると暗かった。夜よりもっと、暗い。
(なにこれ、わたし、公園のトンネルの中で眠っちゃったんだっけ?)
ぼんやり瞬きしていると人の話し声がした。
「――ラック、見てよ。この子おかしな衣《ロール》を着ているね。ピラピラしているけど素材は良さそうだ。こんなに肌を露出させて寒くないのかな」
『眠っている相手にぺたぺた触んなよ。怒られるぞ。――聞いてんのか?』
「薄いけど柔軟性があるね。ヒダの下はどうなっているんだろう?」
そこでチカはパッと目が覚めて飛び起きた。
「きゃあ! なにスカートめくろうとしてるの! 最低っ!!」
「うわぁ!」
両手で思いっきり突き飛ばすと後ろに一回転して壁に当たった。ざぁっと土煙が落ちてきて少年を覆う。
一拍おいて「わっ」と立ち上がった少年は砂だらけになっていた。
「ぺっ、ぺっ、まずい鼻にも入った……は、はっくしょん」
『きたねーなぁオイ』
背中にオレンジの光を灯した虫が“しゃべりながら”少年のもとに飛んでいく。チカは目を白黒させた。
「虫が――、でっかい虫が、しゃべった」
『だれが”虫”だ! オレさまは微光虫のラックさまだぞ!』
Uターンしてきたので慌てて手で払いのけた。
「きゃー来ないでっ、でっかい虫苦手なの」
チカの知っている虫はミンミンとかリーリーとか鳴くばかりで言葉を話したりはしない。それにラックと名乗った虫は蛍に似ているがかなり大きい。なんたって手のひらくらいあるのだから。
『ハチミツー、オレこいつきらいー』
すっかりふて腐れたらしく、虫は少年のフードの後ろにごそごそと隠れてしまう。
「人相が悪いんじゃないか。――はじめまして、ぼくは8032、ハチミツって呼ばれてる。こいつは相棒のラックだよ。きみのコードは? どこのコロニーから来たの?」
少年、ハチミツが近づいてきて腰を下ろした。こちらは人間だ。チカよりすこし幼い、小学生高学年くらいだろうか。両耳に大きなピアスをしてオシャレしている。
「コード? わたしはチカよ、藤村 知花。コロニーってなんのこと?」
「きみに割り振られた居住地域だよ。ぼくはN―13アルビレオ所属。ダイヤモンドの巨大採掘場なんだ」
「アルビレオ? 採掘場? なにを言っているのか全然分からない。わたしが住んでいる空ヶ丘《そらがおか》には銀山があるけど廃鉱になっているもの。……こまったなぁ」
一体どうやったら公園に戻れるのだろう。うーんと悩んでいるとハチミツがぎゅっと手を握ってきた。突然のことにびっくりして三歩後ずさる。しかしハチミツは追いかけてきて鼻先に迫る。なんて大きい目だろう。
「いま”そら”って言った? きみ、”そら”に会ったことがあるの?」
”そらに会う”なんて変な言い方をするものだ。チカはちょっと体をそらしながらうなずく。
「空は会うんじゃなくて”見る”ものでしょう。いくらでも見られるじゃない、ちょっと顎を上げれば……あら」
頭上はまっくら。夜のカーテンでも敷いたようになにも見えない。だれもいない暗い室内で蛍光灯につながる紐を見つけるのが日課のチカは左右に腕を動かしたがクモの巣すら引っかからない。どこまでも深くて広い、闇がある。
カチ、と音がしてハチミツの手元が明るく照らし出された。蝋燭の火でもつけたのかと思いきや、彼が持っているのは水晶玉くらいの石だ。中心に炎がある。
「どうぞ」
「え、熱くない?」
「へいき」
言われたまま持ってみるとずしりと重い。でも熱は感じなかった。どういう原理なのだろう。
「チカ、ここはね、おおきな洞窟なんだよ。数えきれないほどの土と、無数の鉱石が眠っている地下世界なんだ。いま渡したルトラと呼ばれる燃える石もそのひとつだよ」
ふと、小学校の授業で見学にいった銀山跡地を思い出した。岩肌にぽっかり空いた出入口からは冷たい空気が吐き出され、鉄や銅を運ぶためのレールが暗闇の中に続いているのを見てゾッとしたものだ。そういえば急に寒くなってきた。
「じゃあ待って、わたしは銀山の穴に落ちちゃったってこと? でも、もう誰もいないって先生は言っていたし、それに、喋る虫が住んでいるなんて」
『だれが喋る虫だ! 微光虫のラックだっつってんだろ!』
フードから飛び出してハエみたいにぶんぶんと飛び回るラック。オレンジの光が驚くものを映し出した。ハチミツのお尻あたりから伸びている細いロープだ。
「なにそれ」
気になって引っ張ってみると「いたい!」とハチミツが飛び上がった。
「ぼくの大事なしっぽになにすんだよ!」
「……しっぽ?」
「そうさ、ぼくら”モグリ人《びと》”にとってしっぽは落石やヤツの気配を教えてくれる大事なものだ。なくなったら困るんだぞ」
喋る虫。しっぽのある男の子。しらない洞窟の中。
頭が痛くなってくる。
「ちょ……ちょっと待って。ここはどこ!? 日本の、空ヶ丘じゃないの?」
『ニホン? そんなコロニー聞いたことねぇな』
「残念だけどここはチカが住んでいたところとは違うと思う。N―13はダイヤモンド王国の領地、地下327階に位置するんだ。空ヶ丘も、”そら”も、見たことがない」
「そんな……」
以前に本で読んだことがある。自分が住んでいた地域とはなにもかもが違う場所。
異世界。
チカはいつのまにか異世界にやってきてしまった……らしい。